心臓
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臨床 経食道心房ペーシング法の侵襲度
32例のアンケート調査による検討
川上 佳秀廣瀬 邦彦渡辺 裕冨岡 宣良堂山 清森川 雅小菅 邦彦
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1990 年 22 巻 1 号 p. 20-24

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抄録

徐脈性および頻脈性不整脈を有する32例を対象に経食道心房ペーシング法を施行,検査中の各パラメーターおよび検査後のアンケート調査を元に同法の被験者侵襲度につき検討した.
食道誘導上,P波最大振幅と全通電量の間には負の相関関係が認められ(r=-0.738,p<0.01),また全通電量と被検者愁訴との正の相関が示唆された(r=0.541,p<0,05).アンケート調査によると検査前のカテーテル挿入に伴う苦痛,ペーシング中の胸痛1動悸,咳漱,検査後にまで残存する胸部不快感等,経食道心房ペーシング法の及ぼす侵襲が決して少なくない事が確認された.
経食道心房ペーシング法は非観血的で簡便に施行しうる電気生理学的検査法および治療手段であり,我々の症例においてもその臨床的有用性は高く評価されるものがある.しかし被検者愁訴は比較的強く,今後上記の相関関係を元に,侵襲を減少させるための検討がさらに進められるべきであると考慮された.

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