心臓
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症例 右房腫瘍との鑑別が困難であった右房膿瘍の1例
後藤 正義南立 秀和山本 文昭加藤 堅一塩崎 宏
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1990 年 22 巻 11 号 p. 1321-1326

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抄録
症例は58歳,女性右胸痛および発熱を主訴に当科入院.白血球数増加,CRP上昇,赤沈充進,胸部X線写真で右中肺野の浸潤陰影および右側胸水の貯留像,喀疾細菌培養で肺炎球菌を認めたため,肺炎球菌性肺炎および胸膜炎と診断,抗生剤投与を開始した.胸部CTにて右心房に一致する低濃度の腫瘤像を認めたが,心エコー検査ではその腫瘤の描出は困難であった.そこで,心電図同期MRIを施行し,右房内に突出した腫瘤像を認め,また,67Gaシンチグラフィーにて腫瘤に一致する異常集積を認めたため,右房腫瘍と疑診した.その後,抗生剤の連続投与により自覚症状の改善,白血球数,CRP,赤沈,胸部X線像の正常化とともに,右房腫瘤の縮小,消失を認めた.以上の検査所見および臨床経過より右房膿瘍と診断した.本症例のように右房壁から内腔に突出した形態を示す膿瘍は極めてまれであり,右房腫瘍との鑑別が困難であったので報告した.
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