心臓
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症例 大動脈炎症候群にて経過観察中,DeBakey II型の解離性大動脈瘤を併発した1例
平井 淳一青山 隆彦若杉 隆伸明石 宜博嵯峨 孝山崎 義亀與斉藤 和哉一柳 健次村上 暎二
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1990 年 22 巻 11 号 p. 1332-1337

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抄録
29歳女性.主訴:背部痛.現病歴:1981年4月微熱,貧血,血沈充進,高血圧,頭痛を認め,精査にて大動脈炎症候群と診断された.以後副腎皮質ホルモンやCa2+飾拮抗薬などの加療にて,症状,炎症所見ともに改善していたが,1987年9月突然背部痛出現し入院.身体所見:脈拍80/分整,血圧左上肢130/80mmHg,右上肢140/80mmH暮心雑音はないが,頸部・腹部に血管雑音を認める.胸部X線:大動脈に石灰化はなく,心胸郭比45%.心電図:ST-T変化なし.入院時検査成績:赤血球数450×104/mm3,血色素量Hb 11.3g/dl,ヘマトクリット32.9%,CRP11.2mg/dl,血沈82/121mm.CT:上行大動脈に解離腔を(DeBakey II型の解離性大動脈瘤),胸部下行大動脈に一部拡張を認めた.大動脈炎症候群に解離陛大動脈瘤を合併した報告例は,本邦では11例にすぎない.それらの症例の解離腔は大動脈弓遠位から腎動脈附近のDeBakey III型であり,DeBakey II型の解離性大動脈瘤を併発した本例は,本邦で初めての症例と考えられた.
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