心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
症例 先天性僧帽弁狭窄症(hammockvalve)の1手術例
土屋 幸治竹内 敬昌高沢 有史飯田 良直
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 22 巻 2 号 p. 169-174

詳細
抄録
先天性僧帽弁狭窄症はまれな先天性心疾患であるが,中でもhammock valveと分類されるタイプはさらにまれで本邦では報告例をみない.今回著者らは術中所見からhammock valveと確認された症例を経験したので報告する。
症例は13歳の女児で,5歳の時はじめて心疾患を指摘され,精査の結果先天性僧帽弁狭窄症と診断された,以後外来で経過観察を受けていたが,最近になり階段昇降時の息切れを強く自覚するようになり,また水平臥床ができなくなってきたため手術を目的に入院した.手術時の所見では,僧帽弁は後交連側に直径5mm程度の孔があいており,他にゾンデが入る位の小孔が通常の弁口部に3個あるのみであった.左室側から見ると,3本の乳頭筋が左室後壁から起始し,これに直接前尖と後尖が付着していた.前尖を切除し,Bjork-Shiley弁27mono strutで置換した.術後経過は良好で,症状ならびに血行動態の著明な改善が得られた。
本症の病型診断には断層心エコー図が有効であった。
著者関連情報
© 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top