心臓
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臨床 直視下に観察しえたPTMCまたはPTAV後の僧帽弁, 大動脈弁の検討
不成功例を中心として
杉山 明松原 徹夫松尾 仁司岡田 邦博松野 由紀彦上野 勝己小田 寛琴尾 奏典杉下 総吉渡辺 佐知郎大橋 宏重森田 則彦石黒 源之井上 寛治
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1990 年 22 巻 3 号 p. 265-269

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抄録
最近バルーンによるPTAVおよびPTMCが行われるようになり,その効果とともに合併症に対する検討が必要とされてきた.しかしPTAVまたはPTMC後に弁の形態を直視下に観察しえた症例は少ない.今回我々はPTAVまたはPTMC後に弁置換を施行した4例を検討した.PTAV後の弁置換は1例で,大動脈弁は石灰化二尖弁であり,弁輪に沿った裂開を認め,石灰化二尖弁に対するPTAVの有用性に限界が考えられた.また僧帽弁には後交連側の前尖に裂開を認め,これはバルーンシャフトによる損傷の可能性が示唆された.PTMC後の弁置換は3例であり,そのうち2例では交連部の裂開は得られず,組織病変が軽度でpliableである部分に裂開を生じていた.残りの薫例は左室腱索内でのバルーニングのためと思われる僧帽弁後尖の裂開が認められた.PTMC例で弁,弁下組織に硬い部分と軟らかい部分が混在する場合,バルーニングにて軟らかい部分に過大な裂開力が働くことが想像され,術前の慎重な検討が必要と思われた.
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