抄録
内胸動脈を用いた冠動脈バイパス術後に吻合部の狭窄を起こした3症例に対して,上腕動脈よりアプローチして吻合部のPTAを施行した.ガイディングカテーテルには腎動脈形成用のものを使用し,良好なバックアップが得られた.3症例とも吻合部は良好に拡張され,症状,検査所見ともに改善した.しかし,うち1例は約1年後に負荷心電図にて虚血所見が認められ,グラフト造影の結果再狭窄が証明された.他の2例は虚血所見なく良好に経過している.
今後,同様の症例が増加していくものと思われるが,一般のPTA,PTCAと同じく再狭窄の可能性があり,十分な管理および経過観察が必要である.