心臓
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症例 ペースメーカ治療により心不全,大動脈弁逆流の改善を認めた修正大血管転位症の1例
宇野 恵子池田 史彦吉川 勉赤石 誠小川 聡山崎 元半田 俊之介中村 芳郎
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1990 年 22 巻 4 号 p. 398-402

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抄録
我々はDDDタイプのペースメーカの植え込みにより心不全の改善を認めた完全房室ブロックを伴う修正大血管転位症の1例を経験した.
症例は33歳男性,26歳時に健診にて完全房室ブロックを指摘された.33歳時,大動脈弁閉鎖不全の発現と共に労作時呼吸困難が出現した.心臓カテーテル髄では,平均肺動膿入圧20mmHgと高値でIV/IVの左側房室弁逆流,およびIII/IVの大動脈弁逆流を認めた.DDDタイプのペースメーカにより心拍数を70/分に増加させたところ,2週間後には心胸郭比は減少し,心エコー上左室径も縮小した.平均肺動脈模入圧は8mmHgに低下し房室弁逆流,大動脈弁逆流の程度も改善を認め,現在経過観察中である.以上のことから本症例は完全虜室ブロックによる心房心室連関の消失,および徐脈による心拡大が房室弁逆流,大動脈弁逆流の増悪因子であったと考えられた.
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