1990 年 22 巻 9 号 p. 1005-1012
非閉塞性肥大心筋症において運動時に血行動態が悪化する例の臨床的特徴を明らかにするために,運動時の血圧反応の程度と臨床所見を対比した.
Treadmill運動負荷時に血圧反応が乏しい群(血圧上昇度≦25mmHg)は,血圧反応が良好な群(血圧上昇度≧60mmHg)に比して以下の所見が多くみられた.
(1)NYHA II度,(2)肥大型心筋症の家族歴,(3)心電図の電気軸異常,(4)V1のP-terminalforceの増大,(5)異常Q波,(6)V5のR波振幅2.OmV未満,(7)SV1+RV54.0mV未満,(8)QRS時間の延長,(9)運動時にST下降,(10)心尖拍動図A波率の高値,(11)心エコー図で左室壁厚/左室拡張宋期径がO .7以上.
したがって,本症においてこれらの所見を有する例は運動時に血行動態が悪化する可能性が大きいことが示唆された.