心臓
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症例 Denopamineが著効した難治性異型狭心症の1例
杉山 太枝子李 鍾大小川 一也清水 寛正久保田 直邦山本 雅之原 晃中村 徹
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1991 年 23 巻 11 号 p. 1263-1267

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抄録

48歳男性. 安静時に,心電図II,HLaVF誘導のST上昇を伴う胸痛発作が頻発し,異型狭心症と診断.各種のCa拮抗剤,亜硝酸剤の投与によっても胸痛発作は消失せず,むしろ増悪した.nicorandil,交感神経α1受容体遮断剤,Mg剤,trihexyphenidyl HC1の投与も試みたが,無効であった.冠動脈造影上,左右冠動脈に有意狭窄は認めなかった.しかし,検査中に自然胸痛発作が出現し,右冠動脈中間部での完全閉塞を認めた.nitroglycerinの冠動脈内注入は無効であったが,norepinephrineの冠動脈内注入により冠攣縮が速やかに解除された.このことをヒントにβ1受容体刺激剤であるdenopamineを経口投与したところ,その後胸痛発作は劇的に消失した.冠攣縮と交感神経系の関連を明らかにする上で,興味深い症例と思われた.

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