心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
研究会 第24回 志摩循環器カンファランス 主題:動脈硬化 動脈硬化壁へのコレステロール蓄積機構
高野 達哉
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 23 巻 12 号 p. 1419-1425

詳細
抄録
動脈硬化時に,泡沫細胞ならびに動脈壁細胞間にコレステロール・エステルが蓄積してくることはよく知られている.細胞内に蓄積しているコレステロール・エステルは,典型的な十字像を示す異方性液晶状構造をとり,細胞質に観察される.これらのコレステロール・エステル生成機構は,細胞内リソゾームで分解されたコレステロール・エステルがミクロゾームで再エルテル化され,細胞質に蓄積した可能性が考えられる.もう1つの蓄積機構としては,未分解のコレステロール・エステルがリソゾームから細胞質に移行した可能性が考えられる.
一方,細胞間に認められるコレステロール・エステルは,血中より侵入してきたリポタンパク質が蓄積した可能性と泡沫細胞が崩壊することによって蓄積してきた可能性とが考えられる.しかも,これらコレステロール・エステルが蓄積している細胞間には,ビトロネクチンが増加しているという知見が見出された.細胞間に蓄積している脂質には過酸化が生じやすいのか,過酸化脂質を細胞間に検出することができる.その結果,動脈硬化はさらに充進される可能性が示唆される.
著者関連情報
© 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top