心臓
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症例 慢性心房細動に対する経カテーテル心房内直流通電法の1成功例
熊谷 浩一郎木本 伸子山之内 良雄白井 和之木本 和之大堂 孝文田代 方民広木 忠行荒川 規矩男
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1991 年 23 巻 4 号 p. 411-415

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抄録
房細動に対する経カテーテル直流通電法は1988年Levyにより創始された新治療法であるが,本邦では我々の知る限りではいまだ報告がみられない.今回我々は薬物治療抵抗性でかつ体外通電による除細動不成功の慢性心房細動患者に本法を施行し,洞調律に復し得た1例を経験したので,報告する.症例は59歳男性.心房細動は約2カ月以上持続しており,その原因疾患は心筋生検により心筋炎の関与が示唆された.本症例は心機能低下を認めたため,心血行動態の改善と全身性の塞栓症予防のための除細動が適応と考えられた.まず,抗不整脈薬による薬物学療法を約1カ月間施行したが無効であったため,400Jで体外直流通電を行ったが除細動は成功しなかった.ついで経カテーテル直流通電法を試みるため,X線透視下,4極電極カテーテルを三尖弁輪部に留置し,His東電位が消失するまで心房側へ引き,カテーテルの最近位側を陰極とし,背部に添付した電極板を陽極とし,200Jで通電したところ洞調律に復した.その際,合併症として,一過性房室ブロックを認めたのみで,術後14カ月,なお洞調律が持続している.
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