心臓
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研究 ロイコトリエン拮抗薬(ONO-1078)のECG同期冠静脈逆行性投与法による虚血心筋庇護効果の検討
池岡 清光川嶋 成乃亮津本 定也左谷 新近藤 誠宏森田 雅人三好 彩藤谷 和大岩崎 忠昭
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1991 年 23 巻 6 号 p. 613-619

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抄録
ロイコトリエン受容体拮抗薬ONO-1078(L)の虚血心筋庇護効果を,自家肺動脈血を拡張期にのみ大心静脈に留置したカテーテルより駆出するECG同期冠静脈逆行性投与法(SRP)を用いて検討した.麻酔開胸下で雑種成犬20頭を用い,左冠動脈前下行枝を4時間閉塞,1時間再灌流した.虚血中心部の心内膜側,外膜側局所血流量を水素クリアランス法で計測.閉塞15分後よりLを2μg/kg/minでSRPにより投与したSRPL群(n=8),同量を末梢静脈より投与したIV群1(n=5),静脈血のみをSRPで投与したSRP-V群(n=5),未処置のcontrol群(n=6)の4群で比較を行った.実験終了後生食一メチレンブルー溶液等圧注入法,TTC染色でriskおよびinfarctareaを計測.梗塞中心部,健常部の小ブロックのCK活性および含水率を測定した.血行動態は4群間に差はなかった.SRP-L群は冠動脈閉塞中,再灌流中を通じ局所血流量は他群に比し高い傾向を示した.虚血領域のCK含量はSRP-L群のみcontrol群に比し高く(p<0.05),含水率は他の3群に比し減少していた(p<0.01).Riskareaに対する梗塞の割合はSRP-L群は平均32.8%で,IV群73.9%,SRP-V群69.6%,control群84.7%に較べ減少していた(p<0.01).含水率減少,血流増加傾向よりONO-1078の微小循環改善作用が考えられるが末槍静脈投与では効果なく,冠完全閉塞時ではより大量か,SRPによる投与が必要と考えられた.
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© 公益財団法人 日本心臓財団
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