心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
症例 99mTcと201Tlを用いたdual isotope SPECTにより急性心内膜下梗塞を診断し得た2症例
中島 均宮城 学寺門 節雄小林 裕豊田 徹吉崎 彰内山 隆史渡辺 健石井 俊彦山崎 章永井 義一伊吹山 千晴
著者情報
キーワード: 心内膜下梗塞
ジャーナル フリー

1992 年 24 巻 11 号 p. 1288-1293

詳細
抄録
急性心筋梗塞症例に99mTc-pyrophosphate(Tc)と201Tl-chloride(T1)を用いたdual isotope SPECT(dual SPECT)を応用し,急性心内膜下梗塞を診断し得た2症例を報告する.症例1は,心電図上II,III,aVFのST上昇を認めたが,abnormal Q波が形成されずnon-Q wave myocardial infarction(NQMI)と診断された.dual SPECTを施行したところTcの集積を示す赤色部位が後側壁心内膜下に限局して認められ,その周囲にTcとT1の集積のoverlapを示す黄色部位が観察された.心外膜側にはT1の集積を現す緑色部位が認められた.症例2は,心電図上V1~4でSTが上昇,その後経時的に同部のR波が減高しV1でQS,V2でpoor rを示し前壁心筋梗塞と診断した.Dual SPECTでは,Tcの集積を示す赤色部位が前壁心内膜下に限局して認められ,その周囲の黄色部位と心外膜側の緑色部位が観察された.両症例とも心内膜下に限局したTcの集積する梗塞巣を認めたが,その心外膜側にはT1が集積し,かつ左室造影で軽度のasynergyがみられたもののcontractionは保たれていた.また負荷心筋シンチグラムにおいて症例1では梗塞部に一致したreversible defect,症例2ではfixed hypoperfusionが観察されたことから同部心外膜側のviabilityの存在が示唆された.以上より,dual SPECTは急性心内膜下梗塞の診断に有用であると考えられた.
著者関連情報
© 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top