心臓
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24 巻 , 11 号
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  • 宮崎 利久, 新村 健, 井上 詠, 野間 重孝
    1992 年 24 巻 11 号 p. 1233-1241
    発行日: 1992/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    電気生理学的検査(EPS)により発作性上室性頻拍(PSVT)への薬効評価を行い,誘発を抑制した薬剤の慢性経口投与がその再発を予防するか否かを検討した.PSVT患者21例(8例は抗不整脈薬投与下の再発例)を対象とした.コントロール状態とatropineまたはisoproterenol静注による交感神経刺激状態(17例)とにおいて右房,右室でのプログラム電気刺激を反復した.これにより20例(95%)でPSVTが誘発され,その機序が解明できた.ついで,副伝導路を介する房室リエントリー性頻拍(AVRT),心房内リエントリー性頻拍(IART)に対しては原則してIa群のdisopyramideを,房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT),洞結節リエントリー性頻拍(SNRT)に対してはIV群のverapamilを第1選択薬として静注投与した.これにより20例中14例で頻拍の誘発が抑制された.残る6例ではpropranololの追加静注により誘発が抑制された.以後有効薬剤(単独または併用)を経口投与した.平均10.3カ月の経過観察期間中,AVRT11例中2例,SNRT2例中1例で頻拍発作の再発を認めたが,AVNRT6例,IART1例では再発を認めなかった.Propranolol併用投与群では再発例はなかった.すなわち20例中17例(85%)でPSVTが完全に予防された.以上からPSVTの薬物治療における,1)交感神経刺激プロトコールを含むEPSによる薬効評価の有用性と,2)IaあるいはIV群薬無効例に対するべ一タ遮断薬併用の有効性が示唆された.
  • 秋坂 真史, 安達 正則, 鈴木 信, 向井 敏二, 永盛 肇
    1992 年 24 巻 11 号 p. 1242-1246
    発行日: 1992/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    若年者における突然死の死因および危険因子を明らかにする目的で,沖縄県で死亡した15歳以上30歳未満の内因性急死8例(男7名,女1名)の死亡状況,病歴,死因,危険因子および剖検所見等について検討した.病歴や既往歴等には特記すべきことがなかった.死亡状況は睡眠中が4例,運動中が3例,入浴中が1例であり,すべて数分以内の急死と考えられた.組織学的検査の結果,1例が肥大型心筋症,2例が虚血性心不全と診断され,さらに他の3例も致死的な病理所見は欠くものの死亡状況等から心臓性突然死の可能性が強く示唆された.一方これら8例中4例に心肥大が認められ,その中には運動負荷に伴う冠循環障害の関与が示唆される症例も認められた.今後は予防医学的見地と病理検索の両面からの対策がきわめて重要な課題であると考えられた.
  • 徳留 省悟
    1992 年 24 巻 11 号 p. 1247-1248
    発行日: 1992/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 吉儀 雅章, 門間 和夫, 中沢 誠, 安藤 正彦, 中島 弘道, 山村 栄司, 沢渡 和男, 今井 康晴
    1992 年 24 巻 11 号 p. 1249-1255
    発行日: 1992/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    過去5年間に両側動脈管遺残を認めた無脾症候群を3例経験した.3症例全てにおいて主肺動脈が欠如し,肺血流は両側の動脈管に依存していた.症例1は2歳女児で,右室性単心室,単心房,共通房室弁,総肺静脈還流異常を合併した.6歳まで自然経過を観察できたが, 動脈管- 肺動脈接合部の狭窄による低酸素症が進行したため,中心肺動脈形成術およびCentral shuntを行い症状は改善した.症例2は5歳男児,右胸心,心内膜床欠損,共通房室弁,右上大静脈,右大動脈弓の合併例であった.某院にて右Blalock-Taussig(BT)手術と左modified-BT手術を生後2カ月時に行われ,6歳時のPA indexは444であった.症例3は生後1カ月女児.右室性単心室,共通房室弁,両側上大静脈の合併例であった.左BT手術,および右modified-BT手術を行った.3例共に動脈管と肺動脈の接合部に狭窄があり特徴的な大血管の分岐のパターンを示していた.心内合併奇形の外科治療はそれぞれに困難な症例ではあるが,これらの症例に見られた大血管関係は無脾症候群の合併心奇形として1つのentityを成すと思われた.
  • 木全 心一, 川名 正敏, 内田 達郎, 小川 洋司, 金子 昇, 細田 瑳一
    1992 年 24 巻 11 号 p. 1256-1265
    発行日: 1992/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    1.1979年1月より1989年12月までに当施設に入院し,生存退院できた急性心筋梗塞901例について追跡調査を行った.長期予後の規定因子としてとりあげた項目は,年齢,性別,心筋梗塞の既往,Q波・非Q波梗塞,梗塞の部位,入院時のKillip重症度,左室駆出率,treadmill運動負荷試験,障害枝数,不整脈である.
    2.全死亡(全ての死因による死亡),心臓死,心臓死と急死を加えた3つの死亡率は,70歳以上,女性,梗塞の既往のある症例,非Q波梗塞,Killip重症度2~4度の症例,左室駆出率40%以下,treadmill運動負荷陽性例,多枝障害例で有意に高かった.
    3.追跡調査中の心不全の発症は,梗塞の既往,非Q波梗塞,前壁梗塞,Killip分類2~4度,左室駆出率40%以下,運動負荷陽性,多枝障害で有意に多かった.
    4.再梗塞は,梗塞の既往,非Q波梗塞,Killip分類2~4度,運動負荷陽性,多枝障害の症例で多く発症した.
    5.急性期に心室頻拍と細動を生じた症例で,追跡期に心室頻拍が多く発症した.心不全に合併した心室頻拍,細動例の予後が悪い傾向を認めた.
    6.長期予後を主に規定している因子は,冠動脈病変と左室機能であり,これへの対策が重要と考えられる.
  • 手術にて胸線欠損を確認されたDiGeorge症候群の2幼若乳児例
    辻 徹, 瀬口 正史, 中沢 誠, 門間 和夫, 今井 康晴
    1992 年 24 巻 11 号 p. 1266-1271
    発行日: 1992/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    DiGeorge症候群は,第3,4鰓弓の発生異常により胸腺と副甲状腺の無ないし低形成を伴い,テタニー,易感染性を主症状とし,特徴ある顔貌,心大血管奇形を合併する症候群である.今回,我々は術中所見にて胸腺欠損を認めDiGeorge症候群と診断した2例を経験した.症例1は,典型的な大動脈弓離断症(Celoria-Patton分類TypeB)を伴ったDiGeorge症候群である.日齢6で,大動脈弓再建と心内修復術を施行した.術後,重症感染,低Ca性テタニーなどの合併も認められず術後経過良好である.症例2は,大動脈弓奇形のない心房中隔欠損症,心室中隔欠損症,動脈管開存症を伴ったDiGeorge症候群である.術後,低Ca性テタニーを認めグルコン酸Caの静脈内投与,アルファロールの服用を必要とした.術後のリンパ球表面マーカーによる検査では,症例1で,T細胞系の異常が認められたのみであった.染色体検査では2例とも,正常であった.術前,DiGeorge症候群と診断されなかったため,術中2例とも新鮮血輸血を行ったが,術後移植片対宿主反応(GVH反応)はみられなかった.
  • 吉井 新平, 松川 哲之助, 杉山 央, 矢内 淳, 西尾 徹, 佐々木 啓明, 上野 明
    1992 年 24 巻 11 号 p. 1272-1277
    発行日: 1992/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は5カ月男児,生後16日にTAPVDIII型にて根治術施行,退院後の経過観察中に右室肥大が進行,4カ月目の心臓カテーテルでPp/Ps=0.88で肺静脈狭窄が強く疑われたが,アンギオで狭窄部位を特定し得ず,経食道断層心エコーにて左右肺静脈の吻合部直前での狭窄と判明,5カ月目に経心房中隔的に狭窄部解除術を施行した.経食道エコーの有用性を述べ,初回手術での吻合法,経食道エコー所見,および再手術時の所見からTAPVD術後肺静脈狭窄発生に関する考察を行った.
  • 窪田 理, 橋本 治久, 西山 誠一, 井上 智勝, 石戸 谷武
    1992 年 24 巻 11 号 p. 1278-1282
    発行日: 1992/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    重複僧帽弁口症は非常にまれな疾患であり本邦では26例の報告をみるが,そのうち術前診断例は2例のみでありいずれも経胸壁超音波診断法で診断されている.今回,我々は経食道超音波心断層法を用いて本症を観察したがこれまでその報告例はなく他の心奇形の合併症の確認および形態的分類上も有用と思われたので報告する.
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    岡山 英樹, 土井内 純治, 藤原 靖子, 田村 朗, 児玉 光司, 末次 正治, 本田 俊雄, 城 忠文, 古谷 敬三
    1992 年 24 巻 11 号 p. 1283-1287
    発行日: 1992/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は64歳男性.61歳時に下壁の心筋梗塞を発症した.平成元年9月うっ血性心不全を発症,同年11月某病院で心臓カテーテル検査を施行された.3枝病変のためCABGを勧められたが,本人の希望により内科的に経過観察されていた.平成2年1月12日,前壁中隔の急性心筋梗塞を発症し,当院CCUに緊急入院した.著明な腎機能低下を認めたため保存的治療(ウロキナーゼ96万単位静注)を行った.翌日より心不全・腎不全による肺水腫をきたしたため,CAVHを導入した.臨床所見は改善傾向にあったが,第5病日に心室細動をきたし心肺蘇生に反応なく死亡した.剖検では著名な大動脈の粥状硬化に加え,腎・肝・膵・脾に多数のコレステロール結晶による塞栓を認め,脾では一部梗塞をきたしていた.従来コレステロール塞栓症候群の診断は下肢の虚血性皮膚病変が契機となるが,本症例のように腎不全のみを呈する場合もあり,誘因となる侵襲後の亜急性の腎不全は,本症を念頭においてあたるべきと考えられた.
  • 中島 均, 宮城 学, 寺門 節雄, 小林 裕, 豊田 徹, 吉崎 彰, 内山 隆史, 渡辺 健, 石井 俊彦, 山崎 章, 永井 義一, ...
    1992 年 24 巻 11 号 p. 1288-1293
    発行日: 1992/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞症例に99mTc-pyrophosphate(Tc)と201Tl-chloride(T1)を用いたdual isotope SPECT(dual SPECT)を応用し,急性心内膜下梗塞を診断し得た2症例を報告する.症例1は,心電図上II,III,aVFのST上昇を認めたが,abnormal Q波が形成されずnon-Q wave myocardial infarction(NQMI)と診断された.dual SPECTを施行したところTcの集積を示す赤色部位が後側壁心内膜下に限局して認められ,その周囲にTcとT1の集積のoverlapを示す黄色部位が観察された.心外膜側にはT1の集積を現す緑色部位が認められた.症例2は,心電図上V1~4でSTが上昇,その後経時的に同部のR波が減高しV1でQS,V2でpoor rを示し前壁心筋梗塞と診断した.Dual SPECTでは,Tcの集積を示す赤色部位が前壁心内膜下に限局して認められ,その周囲の黄色部位と心外膜側の緑色部位が観察された.両症例とも心内膜下に限局したTcの集積する梗塞巣を認めたが,その心外膜側にはT1が集積し,かつ左室造影で軽度のasynergyがみられたもののcontractionは保たれていた.また負荷心筋シンチグラムにおいて症例1では梗塞部に一致したreversible defect,症例2ではfixed hypoperfusionが観察されたことから同部心外膜側のviabilityの存在が示唆された.以上より,dual SPECTは急性心内膜下梗塞の診断に有用であると考えられた.
  • 間瀬 武則, 永田 昌久, 塩井 健介, 浅井 忠彦, 岡崎 信彦, 土岡 弘通
    1992 年 24 巻 11 号 p. 1294-1297
    発行日: 1992/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は67歳女性,僧帽弁狭窄兼閉鎖不全症のため僧帽弁置換術(Carpentier-Edwards生体弁)を受けた.約8年後,労作性呼吸困難を自覚するようになった.約12年後の1990年2月頃になると,症状がしだいに増強し当院に入院した.精査の結果,僧帽弁位生体弁機能不全による狭窄兼閉鎖不全症,巨大左房,三尖弁閉鎖不全症と診断し,再弁置換術を施行した.生体弁の左房側は左房内膜からのpannusが全周性に弁座を覆い,さらにそれぞれの弁尖に延び,一弁は閉鎖位で固定され,他の二弁も開放可動域は半分以下であった.生体弁置換術後の長期遠隔追跡では,生体弁の機能不全が指摘されている.その原因として,弁の石灰化や硬化などの変性や変形,さらに穿孔や亀裂,感染に基づく弁尖の変形が上げられる.本例は,pannus形成が弁座から全周性に同心円状に広がり,可動性を失った弁尖により強い変化をきたし僧帽弁狭窄兼閉鎖不全症を生じたものと考えた.
    Pannus形成が直接生体弁機能不全の原因となった報告はきわめて少なく,興味深い病態と思われたので報告した.
  • 安田 聡, 栗田 隆志, 清水 渉, 相原 直彦, 鎌倉 史郎, 松久 茂久雄, 大江 透, 永田 正毅, 下村 克朗
    1992 年 24 巻 11 号 p. 1298-1303
    発行日: 1992/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    若年性肥大型心筋患者には,突然死や失神発作が認められることが多いが,その原因はいまだ不明な点が多い.今回我々は,運動によって著明な血圧低下をきたし失神発作が認められた若年性肥大型心筋症の1例を経験した.症例は17歳,女性.運動時の失神発作で,心エコー,左室造影,心筋生検の結果より非閉塞性肥大型心筋症と診断された.トレッドミル運動負荷試験では心室性不整脈は誘発されなかったが,心電図上ST低下と心拍数上昇に伴い著明な血圧低下をきたし前失神状態となった.電気生理学的検査では洞機能低下と,3連発心室早期刺激により心室細動(Vf)が認められた.120/分以上の心室ペーシングで著明な左室拡張末期圧の上昇と血圧低下が生じた.本症例では,左室コンプライアンスの低下による頻拍時の左室流入障害に心筋虚血が関与して血行動態が悪化し,失神発作が生じたと考えられた.心室受攻性の亢進もあり,血行動態悪化時に二次的にVfに移行する可能性もあった.洞機能低下に対して,恒久的ペースメーカー植え込み後,ベラパミル,ジソピラミドが投与された.薬剤投与後は,心室ペーシング時の左室拡張末期圧の上昇,血圧の低下,運動負荷中の血圧の低下,心電図変化,自覚症状とも改善がみられた.本症例は若年性肥大型心筋症患者の突然死の原因の1つを示唆するものであり,ベラパミルが症状の改善に有効であった.
  • 木戸 伸介, 竹中 孝, 堀本 和志
    1992 年 24 巻 11 号 p. 1304-1308
    発行日: 1992/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は64歳の男性で,12年前から肥大型心筋症として投薬を受けていた.1年前から当科外来に通院していたが,労作時の息切れと易疲労感が増強してきたため,精査加療目的で入院した.胸部聴診にて胸骨左縁第3肋間から心尖部に収縮期駆出性雑音を聴取し,胸部X線像にて心拡大を認めた.心エコー図では心室中隔中央部に著しい肥厚を伴う非対称性中隔肥厚を認めた.心内圧測定では,左室中央部と心尖部間に35mmHgの,右室心尖部と流出路間に15mmHgの収縮期圧較差を認めた.左室造影では,壁肥厚による左室中央部の著明な内腔狭窄と心尖部の壁運動低下を認め,右室造影では流出路狭窄をみた.一般的に,左室流出路狭窄を有する肥大型閉塞性心筋症に右室内腔閉塞を合併することはまれではないが,心室中部閉塞性肥大型心筋症に右室内腔閉塞を合併した症例は極めてまれであり報告した.
  • 仁村 泰治
    1992 年 24 巻 11 号 p. 1309-1312
    発行日: 1992/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 清水 渉, 大江 透, 下村 克朗, 神崎 徹, 土岡 由紀子, 松浦 秀夫, 梶山 梧朗
    1992 年 24 巻 11 号 p. 1313-1319
    発行日: 1992/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    運動負荷およびイソプロテレノール持続点滴により著明なTU波の異常を認め,電極カテーテル押しつけ法による単相性活動電位(monophasic action potential:MAP)で早期後脱分極(early afterdepolarizations:EAD)が記録されたRomano-Ward症候群の症例を経験した.症例は27歳の女性で,主訴は運動中の動悸,失神発作.安静時12誘導心電図では修正QT(QTc)時間は0.57sec1/2と延長していた.トレッドミル運動負荷試験,イソプロテレノール(Iso)1μg/分の持続点滴で,TU波の異常(TU波の後方成分の増高)を伴うQTc時間の延長を再現性をもって認め,TU alternansが出現した.Iso1μg/分の持続点滴中に右室前壁で記録したMAP第3相に,心電図上のTU波の異常に伴いEAD様humpの出現を認めた.このEAD様humpの出現に伴い90%MAP持続時間(MAPD90)は325msecからI s o 投与後4 2 0 m s e c へと延長した. I s o 投与による心電図上のTU波の異常は,プロプラノロール投与(10mg静注)で抑制されたが,ベラパミル(10mg静注),メキシレチン(125mg静注)前投与では抑制されなかった.
  • 山佐 稔彦, 今村 俊之, 松永 和雄, 原田 敬, 原 耕平, 西島 教治, 宿輪 昌宏
    1992 年 24 巻 11 号 p. 1320-1325
    発行日: 1992/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,女性.意識障害,痙攣,ショックで発症し,原因精査および治療の目的で当院へ入院となった.心電図は,急性の右室負荷所見を呈し,心エコーにて右室の著明な拡大,中隔の左心室への圧排,カラードプラーエコーで三尖弁逆流が認められた.パルスドプラー法による右心室流出路血流速波形は,著明な肺高血圧パターンを示し,流速波形面積も小さく1 回拍出量の減少も示唆された. スワンガンツカテーテルを肺動脈へ挿入を試みたが,肺動脈より右心室ヘカテーテルが押し戻され挿入は困難であった.急性肺血栓塞栓症と診断し,ウロキナーゼ96万単位を経静脈的に投与した.心エコー上の右室拡大や中隔変形は,徐々に正常化し,右心室流出路血流速波形も急性期の肺高血圧パターンから正常のパターンへ改善し,流速波形面積も拡大したことより,一回拍出量も徐々に増加したことを示していた.
    慢性期に施行した肺換気・血流シンチグラフィー,右心カテーテル検査はともに正常化していた.血栓シンチグラフィーで両下肢に集積を認め,下肢静脈造影で多数の静脈血栓および静脈閉塞を認め,この部位が血栓産生部位と考えられた.
    急性肺血栓塞栓症は,発症早期に致死的となることも多いが,早期の適切な治療で救命できる疾患でもある.本症の診断や経過のfollow upに,パルスドプラーエコーが有用であった症例を経験したので報告した.
  • 内藤 達二, 今村 俊之, 池田 聡司, 松永 和雄, 原田 敬, 山佐 稔彦, 浜辺 定徳, 小串 亮三, 松崎 忠樹, 原 耕平, 高木 ...
    1992 年 24 巻 11 号 p. 1326-1331
    発行日: 1992/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    成人T細胞性白血病・リンパ腫(adult T cell leukemia/lymphoma.ATLL)は末梢血や骨髄,リンパ節のみならず,各種臓器に高率に浸潤がみられる.心臓への浸潤について剖検例でいくつかの報告があるが,報告によってまちまちであり,14~70%の頻度である.しかし,ATLLの心臓への浸潤を生前に診断しえた例は2例のみで,いずれも心嚢液が多量に貯留し,心嚢液細胞診にて心臓への浸潤が証明されている.今回我々は,左室流出路に腫瘤を形成し,術後の組織標本にてATLLと診断しえた1例を経験したので報告する.症例は35歳女性.昭和62年10月頃より全身のリンパ節の腫脹が出現.リンパ節生検で悪性の所見はなかったが,抗ATLA抗体陽生で末梢血にATL細胞を認めた.当科入院時心雑音を聴取し,左室造影にて左室流出路に陰影欠損を認めた.MRIでも左室流出路からValsalva洞に逸脱する腫瘤を認めた.診断および治療目的で手術適応とし,摘出標本よりATLLと診断した.心臓内腔に腫瘤を形成したATLLを生前に診断しえた例はなく,極めてまれな症例と思われた.
  • 竹下 聡, 山口 徹, 落合 正彦, 古田 裕子, 板岡 慶憲, 桑子 賢司, 一色 高明
    1992 年 24 巻 11 号 p. 1332-1336
    発行日: 1992/11/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は64歳女性.労作時呼吸困難を主訴として当院へ入院.入院時,脈拍120/分,整.血圧132/68mmHg.胸骨左縁にLevine3度の収縮期駆出性雑音および心尖部に同3度の全収縮期逆流性雑音が聴取された. 内部分泌検査成績ではT S H 0 . 1 2 μ U / m l ,FT3 18.1pg/ml,T4 16.8μU/mlと甲状腺機能亢進所見が認められ,心エコー図では,僧帽弁の収縮期前方運動,左室流出路でのモザイク乱流パターン,僧帽弁前尖の逸脱,中等度の僧帽弁逆流が認められた.連続波ドプラ法より推定された左室流出路圧較差は約100mmHgであった.propranololおよび抗甲状腺剤の投与後,上記エコー所見は著明に改善した.甲状腺機能正常化後に施行した心臓カテーテル検査では,左室流出路の圧較差は認められず,亜硝酸アミルおよびisoproterenol負荷でも圧較差は誘発されなかった.左室造影では僧帽弁前尖への腱索の付着異常が認められ,収縮期にこの異常腱索が左室流出路側へとたわんで伸びているのが確認された.本例における一過性の左室流出路狭窄の出現機序には,僧帽弁前尖へ異常付着した腱索の存在に加えて, 甲状腺機能亢進症に伴うh y p e r c o n t r a c t i l e stateと乳頭筋機能不全が関与したと考えられた.
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