心臓
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臨床 肥大型心筋症における右室肥大の意義
臨床像,心機能および予後との関連性
近森 大志郎土居 義典Shaughan Dickie米沢 嘉啓小田原 弘明小澤 利男William J. McKenna
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1992 年 24 巻 3 号 p. 267-273

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抄録
肥大型心筋症(HCM)における右室肥大(RVH)と臨床像,心機能,予後との関連性について検討するため,本症患者47例に対して6方向からの右室エコー法を施行しRVHの有無を評価の上,48時間ホルター心電図および心プール法より求めた心機能指標とも対比した.
RVHは15例(32%)に認められ,RVH群は収縮期僧帽弁前方運動の頻度が高く(47vs.10%;p<0.025),平均左室壁厚がより厚く(21±6vs.17±3mm;P<0.02),左房径が拡大し(43±6vs.36±9mm;p<0.005),心室頻拍の合併頻度も高かった(40vs.13%;p<0.05).しかし,左室収縮期・拡張期心機能指標については両群間に有意差を認めず,年齢・家族歴・症状においても同様であった.4.7±2.0年の経過観察中,RVH群15例中5例,非RVH群32例中3例に致死的合併症を認め(p<0.05),RVH群は非RVH群と比較して予後不良であった.
以上より,RVHを認める症例はより重症のHCMと考えられ,本症患者では詳細な右室のエコー検査によるRVHの評価が重要と考えられる.
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