心臓
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臨床 心肥大のある老年者高血圧患者における血圧日内変動の特徴
下沢 達雄桑島 巌鈴木 康子星野 智金丸 晶子蔵本 築
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1992 年 24 巻 5 号 p. 541-546

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抄録

老年者高血圧性心胞大(LVH)例における血圧日内変動の特徴を知る目的で,降圧剤を服用していない本態性高血圧患者38例を心肥大群(HT1群)15例(76.7±5.1歳)と肥大のない群(HT2群)23例(72.8±6.1歳)に分け,さらに正常血圧者群(NT群)11例(73.2±5.8歳)を対象とし,非観血的に24時間血圧を測定し,収縮期血圧(SBP)について24時間,日中(5:30-21:00),夜間(21:30-5:00)の平均を求めた.また等尺運動負荷前後の血圧変化についても検討した.LVHの判定にはMモード心エコーを用いLVMI>130g/m2をLVHありとした.
外来血圧は高血圧群でNT群に比し高値であったがHT1,HT2群間で差を認めなかった.日中SBPはHT1群,HT2群がNT群に比し高値であったが,HT1,HT2群間に差を認めなかった.夜間収縮期血圧はHT1群(149±15mmHg)が,NT群(117±16mmHg)に比して有意に高く,HT2群(138±20mmHg)に比しても高い傾向にあった(p<0.10).また日中と夜間の収縮期血圧差,1日血圧変動係数はHT1群で他の2群に比べて小さかった.
LVMIと夜間収縮期血圧,24時間収縮期血圧はそれぞれr=0.431,p<0.01,r=0.418,p<0.01と正の相関を示した.LVMIと日中夜間血圧較差はr=-0.325,p<0.05で,有意な負の相関を示した.LVMIと等尺運動後の血圧とは相関傾向を認めるにすぎなかった.老年者の心肥大の進展において夜間血圧の関与が大きいことが示唆された.

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