1992 年 24 巻 5 号 p. 617-628
ローズベンガルの光増感を用いラット灌流心の組織内にて活性酸素を発生させ,その不整脈惹起性を検討した.活性酸素によるオキシダントストレスにて心電図変化(Q-T延長,T波陰性化)が出現し,さらに心電図変化に続き心室性期外収縮,心室頻拍,房室ブロックが認められた.これらは虚血,再灌流によらず有気灌流下にて出現した.ローズベンガル濃度と心電図変化,不整脈の出現時間との関係を検討すると,これらの間にdose-response relationがみられた.
再灌流不整脈発現における活性酸素によるオキシダントストレスの関与を検討するため,再灌流早期にラット灌流心に対して加わるオキシダントストレスをローズベンガルの光増感により増強し,再灌流不整脈が増悪するかを検討した.左冠動脈結紮後の再灌流時から30秒間心臓を光照射しオキシダントストレス増強すると再灌流不整脈の頻度が増加し,また再灌流後早期に不整脈が出現した.
以上のように本研究では活性酸素によるオキシダントストレスにて心電図変化と不整脈が発現し,また再灌流早期において心臓に対するオキシダントストレスを増強すると再灌流不整脈が増悪することが示され,活性酸素は再灌流不整脈の発現に関与する1因子であると考えられた.