心臓
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症例 ステロイド治療が奏効した慢性心筋炎の2症例
塙 晴雄和泉 徹小玉 誠田辺 恭彦津田 隆志柴田 昭熊倉 真樋熊 紀雄
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1992 年 24 巻 6 号 p. 719-723

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抄録

慢性心不全状態で発症し,67Ga心筋シンチグラム上著明な集積を示し,心筋生検にて心筋炎を確認できた2例に対してステロイド治療を行った.症例1は44歳の女性.心不全状態が徐々に悪化するためステロイドを投与した.投与2カ月後には壁運動はEF28%から60%へと劇的に改善し,67Gaの心筋集積も著明に減少した.ステロイドを漸次減量したところ7カ月後に再燃し,ステロイドの増量とアザチオプリンの併用療法にて再度壁運動の改善を認めたが,カリニ肺炎を併発し死亡した.症例2は54歳の女性.慢性心不全状態で来院.3カ月後に67Ga心筋シンチで著明な集積を認め,ステロイドを開始した.投与1カ月後に壁運動改善は認めなかったが67Gaの心筋集積は消失し,半年後の右心カテーテル検査で肺動脈楔入圧所見の著明な改善を認めた.以上より病態が悪化しつつある慢性心筋炎で6 7 G a筋集積や心筋生検で活動性ありと確認された症例には,慎重な経過観察のもとでステロイド治療を試みれば,病状の改善を望める症例が存在すると考えられた.

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