心臓
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臨床 Benzylpenicillin によるStreptococcus viridans心内膜炎の治療
藤野 英俊瀬口 正史安河 内聰中澤 誠門間 和夫高尾 篤良
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1993 年 25 巻 1 号 p. 34-40

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抄録
当科で経験したStreptococcus viridansによる感染性心内膜炎27例のうち,Benzylpenicillin(以下PCG)を投与されていた23例の臨床経過を検討し,PCGの適切な治療法と副作用について考察した.PCG投与量は,50万単位/kg・日以上と未満では,抗生物質の投与期間,入院期間,CRPの陰性化に要した期間に両者の間で有意差はなく,aminoglycoside系の抗生物質の併用も治療経過に影響を与えなかった.Probenecidの併用例では治療経過が短くなる傾向がみられたが,有意ではなかった.PCGの副作用としてPCG投与による発熱について検討したが,副作用によると確定された5例で91±24万単位/kg・日投与されていたのに対し副作用のみられなかった12例では60±35万単位/kg・日と,副作用群でPCGは過量に投与されている傾向にあった.
Streptococcus viridans心内膜炎におけるPCG投与は,20~30万単位/kg・日程度の投与量で十分な治療効果が得られ,50万単位/kg・日以上の投与量ではむしろ副作用発現の危険性が大きい.また,PCGに対する薬剤感受性が大きい場合には,aminoglycoside系抗生物質の併用は必要ないと考えられた.
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