心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
臨床 梗塞発症後の回復期に有意狭窄を認めない心筋梗塞症例の冠状動脈攣縮性の検討
溝部 宏毅柴田 仁太郎上田 哲郎細田 瑳一宮崎 吉弘笠原 信弥中野 淳平小松 行雄
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 25 巻 12 号 p. 1391-1396

詳細
抄録

心筋梗塞発症後の回復期の冠状動脈造影で有意狭窄を伴わない心筋梗塞症患者16例(男13例,女3例,平均年齢52±9歳)に対し,アセチルコリンによる冠攣縮誘発試験を行った.1例が心房細動を,1例が糖尿病を,2例が高脂血症を合併していた.喫煙歴を有するものは11例であった.心筋梗塞発症前に狭心症の既往があるものは19%と極めて少なかった.75%の例で冠状動脈の攣縮が誘発され,6例で1枝,2例で2枝,4例で3枝全てに誘発された.梗塞の責任血管で攣縮を起こしたのは6例であった.4例では急性期にも冠状動脈造影を行ったが,慢性期の誘発試験では4例とも閉塞部位と全く同じ部位では攣縮はみられなかった.攣縮の誘発率は下壁梗塞に比し前壁梗塞で多く,また高齢者に高い傾向があった.また右冠状動脈に起こりやすかった.

著者関連情報
© 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top