1993 年 25 巻 12 号 p. 1438-1442
慢性腎不全のため昭和58年来血液透析を受けている64歳,腹部大動脈瘤男性例に対しYグラフト移植術を施行した.術後度重なる不穏に対してハロペリドールを大量に使用し,これにより不穏を抑制することができたがQT延長をきたしRonTによると思われるVTを頻発した.ハロペリドールの使用を中止し,また透析吸着を行ったところQT延長も正常化しVTも出現しなくなった.ハロペリドールの最高血中濃度は10.6ng/dlであり治療濃度域内にコントロールされていた.
[総括]ハロペリドール使用時は血中濃度が正常域でも不整脈に十分注意すべきである.