心臓
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研究 福岡市における急死の実態について
神宮 純江竹下 彰相浦 昭彦大木 實中村 元臣
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1993 年 25 巻 3 号 p. 261-269

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抄録

福岡市早良保健所管内の突然死について,死亡小票とアンケート法によってその実態を調査した.発症24時間以内の突然死発症率は人口10万人当たり40.7であった.(1)1986年より1989年の3年間の死亡小票による調査では,30歳より60歳代の突然死は男性で女性よりも高率であった.死亡小票にみられる死因の中では心不全が52%,急性心筋梗塞が21%,脳血管死が13%であった.(2)1987年7月から1988年6月までの1年間の突然死56例について,特に受診医療機関および遺族ヘアンケート調査をすることにより,死亡時の状況から死因を推定した.その結果心臓死が55%を占め,心臓死の74%が不整脈死と推測され,残り26%が急性心筋梗塞と推定された.また脳血管死は急死の18%,居合せた家族がなかった等の理由で原因不明であったものが21%であった.突然死した症例の50%に生前高血圧が,45%に心臓病の病歴が認められ,前者の70%,後者の83%は定期治療中であった.突然死の前駆症状として死亡前1か月以内に胸痛を経験した例は,心臓死の約半数にのぼり,急性心筋梗塞死では70%に達した.心臓死の好発時間帯は午前0時より午前中であった.また深酒後や入浴・用便直後にも突然死が多かった.突然死例の8割は掛りつけの医療機関を持ち,死亡1年以内に受診していた.以上の結果から医療機関を通じて疾病に対する知識を与えるなど患者教育を十分行うことにより急死を減少させる可能性が示唆された.

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