心臓
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臨床 小児期非閉塞性肥大型心筋症の心電図異常
ASH出現前後の心電図変化
神谷 康隆大中 正光糸井 利幸林 鐘声浜岡 建城尾内 善四郎
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1994 年 26 巻 1 号 p. 24-30

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抄録
小児期発症の非閉塞性肥大型心筋症(HNCM)6例の非対称性心室中隔肥厚(ASH)出現前後における心電図変化を検討した.対象6例の初診時年齢は6~15歳(平均10.5歳),男4例,女2例であった.初診時の主訴は学校検診の心電図異常5例,心筋症の家族歴1例であった.初診時は全例心エコー上心肥大を認めず,1~8年(平均4年)の経過でASHが出現した.壁肥厚部位は心室中隔限局が5例で,残りの1例は心室中隔から側壁に進展していた.初診時の心電図異常は,異常Q波(II・III・aVF:4例,V5 V5,6:2例),R波増高(V1:3例),R波減高(V2,3:2例,V5,6:2例),陰性T波(II・aVF:1例)であった.ASHが確認された時点で新たに認められた心電図異常は,異常Q波(II・III・aVF:1例),R波減高(V5,6:2例),T波陰転(I・aVL:2例,V2~4:4例)であった.HNCMのASH出現前後の心電図所見は,ASH出現前にはII・III・aVF,V5,6の異常Q波,V1のR波増高,V2,3,V5,6のR波減高を組み合わせたパターンがみられ, A S H 出現時にはI・aVL,V2~4のT波が陰転化する傾向を認めた.
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