心臓
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臨床 早期閉塞型大動脈解離症例における合併症ならびに予後
藤岡 達雄不藤 哲郎中江 出岩瀬 知行田仲 輝光田巻 俊一花田 正治佐藤 達朗中山 正吾西村 和修山里 有男久保 茂橋本 恵
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1994 年 26 巻 2 号 p. 133-140

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抄録
1980年4月から1992年12月までの間に当院に入院した急性大動脈解離症例161例のうち早期閉塞型症例55例(Stanford A型11例,B型44例)を対象として,その合併症,経食道エコー検査所見に基づく治療方針の決定ならびに長期予後(観察期間平均3年4カ月)について検討した.
結果,早期閉塞型においても急性期重篤な合併症(心タンポナーデ,左胸腔内出血,縦隔内出血)を7例に認め,このうち3例に緊急手術を必要とした.特に入院時の経食道エコー検査において5cm以上の血管径拡大例や偽腔内血栓の占める比率の大きい症例は合併症を起こしやすかった.
長期予後は一般に良好であるが亜急性期にみられる限局性偽腔内血流再開例(55例中15例27.3%)では慢性期,血流再開部位の拡大に注意を払う必要がある.さらに再解離も2例に認めたことから退院後も降圧療法を含めた厳重な経過観察が必要である.
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