心臓
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症例 Carbamazepineにより徐脈-頻脈を伴う洞不全症候群を呈した1例
佐々木 一哉高橋 路子芹澤 宏鈴木 幸男岩淵 直人熊谷 直樹浜田 慶城土本 寛二島田 英世倉持 茂
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1994 年 26 巻 8 号 p. 864-868

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抄録

症例は83歳の女性.1カ月にわたる右側眼痛および顔面痛にて入院,三叉神経痛に対しCarbamazepineを100mg/日より開始したが,200mg/日へ増量後18日目に一過性の意識消失発作が出現した.神経学的に変化はなかったが,脈拍数40-50/分の不整な徐脈が認められ,24時間ホルター心電図にて発作性上室性頻拍が先行する洞停止(最大R-R間隔:6.8秒)が確認された.その際,血中濃度は4.0μg/ml)と治療域下限であったが,Carbamazepine投与を中止したところ意識消失発作はなくなり,心電図所見も正常化した.剖検では洞結節の軽度萎縮,細胞の減少,周囲への脂肪組織の介在など加齢的な変化であると考えられた.
本薬剤による心臓刺激伝導障害は,40例余にすぎず,しかも本例のごとく治療域濃度以下で高度の洞不全(Rubenstein III型)をきたした症例の報告は極めてまれであり貴重な症例と考えられた.

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