心臓
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研究 腎血管性高血圧ラットの心肥大と冠予備能に及ぼす塩酸ベニジピンの影響
小林 直彦小林 公也高野 幸一高田 正則土谷 範昭八木 繁松岡 博昭
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1995 年 27 巻 12 号 p. 1057-1064

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抄録
腎血管性高血圧ラットに,Ca拮抗薬としてbenidipineを長期間投与し,高血圧性心肥大と冠予備能に及ぼす影響を,colored microsphere法(CMS)により検討した.雄のSprague-Dawleyラットを用い,腎血管性高血圧ラット(RHR:2K-1 C Goldblatt)を作成し,sham operationを施行したもの(ShC,n=9)を対照とした.tail-cuff法にて4週間血圧が160mmHg以上であることを確認した後,RHRをbenidipille治療群(T-RHR,n=9)と未治療群(U-RHR,n=9)に分け,benidipine:5mg/kg/dayを6週間投与した.実験3日前に麻酔人工呼吸下に開胸し,左房にPEチューブ10を,前日に大腿動脈にPEチューブ50を挿入し後頸部に固定した.実験は無麻酔無拘束下で施行し,冠血流量および心拍出量の測定は,CMSを用いたreference bloodsample法により施行した.安静時冠血流量を測定後,最大冠血流量を評価する目的で,carbochrome;12mg/kgを左房より投与し,再び冠血流量を評価した.T-RHRでは血圧は全末梢抵抗の減少に伴って低下し,左室重量は著明に減少した(2.63±0.07vs3.54±0.10mg/g,U-RHR,p<0.01).またすべてのラットにおいて,血圧と左室重量とは有意な正の相関関係(r=0.974,p<0.001)を示した.安静時冠血流量はT-RHRで有意に(p<0.05)に増加した.最大冠血流量と冠予備能は,U-RHRではShCより低下していたが,T-RHRではU-RHRと比べ有意に増加した.以上よりbenidipineは,すでに高血圧と心肥大が存在した後でも,心肥大の退縮をもたらし,冠予備能を改善せしめ,降圧薬として優れた特徴を持つことが示唆された.
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© 公益財団法人 日本心臓財団
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