心臓
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研究 虚血性心疾患に対するdipyridamole併用亜最大運動負荷心筋SPECTの有用性について
清水 明徳馬場 伸介岩垣 尚史豊永 慎二砂山 敬之鈴木 誠祐高杉 健太柴田 凡夫
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1995 年 27 巻 5 号 p. 399-408

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抄録

【目的】負荷心筋シンチグラフィーの偽陰性をなるべく少なくするためにdipyridamoleによる薬物負荷とergometerによる亜最大運動負荷を併用した心筋SPECT(DE-SPECT)の有用性と安全性を検討した.【対象】冠動脈造影上有意狭窄を認めたCAD(+)群89例と認めなかったCAD(-)群21例.【血行動態】CAD(-)群での亜最大運動負荷後の血行動態は,dipyridamole投与により有意な変化は認めなかった.CAD(+)群ではdipyridamole投与により有意に(p<0.05)低レベルの運動負荷で虚血が誘発されており運動負荷が不十分なために偽陰性となる症例については有用であった.【診断精度】DESPECTによる虚血性心疾患の診断精度はsensitivity99%・specificity91%と良好な成績を得た.Dipyridamole投与後に低容量の運動負荷である3分間の足踏み負荷を併用した心筋SPECT(DSSPECT)とDE-SPECTの両者をCAD(+)群25例に順不同に施行したところ,DE-SPECTは全例が陽性であったにもかかわらず,DS-SPECTは3例(12%)にfalse negativeを認め,sensitivityは88%であった.DS-SPECTのfalse negative例は運動耐容能の良好な1枝病変であった.【合併症】CAD(+)群においてDE-SPECTにより約80%に狭心症状を認め,その半数にaminophylline投与が必要であったが,重篤な合併症は認めなかった.【総括】DE-SPECTは目標不到達例を減少させることができるために虚血性心疾患の診断精度を増加することができた.

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