心臓
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研究会 第8回 蔵王カンファランス コレステロール逆転送系とその異常
松沢 佑次
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キーワード: Tangier病
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1995 年 27 巻 7 号 p. 662-669

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抄録
高比重リポ蛋白(HDL)が動脈硬化を予防するリポ蛋白であることが疫学的に証明されて既に20年になるが,必ずしもその分子機構は明らかにされていない.最近の研究によりHDLは,コレステロール逆転送系(本来コレステロールは肝臓で作られ末梢細胞へ運ばれるので,その逆の末梢から肝臓へ運びもどす系)の中で主役をなしていることが明らかになっており,その逆転送系が組織におけるコレステロールの畜積を防御するものと考えられるようになってきた.従って,HDLが欠損するとコレステロール逆転送系が作動しなくなるため,atherogeniclipoproteinが少なくても動脈硬化が伸展するのである.しかし,私達は,HDLの血中レベルが増加しながらこのコレステロール逆転送系が障害されている病態として,コレステロール転送蛋白欠損症を見出した.この異常が動脈硬化と直接結びつくかどうかは,未だ結論は出ていないが,少なくとも日常診療で測定されているHDL-コレステロールの血中レベルのみで,動脈硬化との関連を考察することは不十分であり,HDLの機能的評価が重要であることを示す病態である.
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