心臓
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研究 DCA施行血管における標的病変中枢側の冠動脈狭窄進展
桐ケ谷 肇相澤 忠範小笠原 憲佐藤 廣永島 和幸阿部 七朗中村 尚夫加藤 和三
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1995 年 27 巻 9 号 p. 777-781

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抄録

DCA施行後の慢性期に,DCA施行部位よりも中枢側の冠動脈に血管径の変化が生ずるかどうかを検討した.対象は初回DCAに成功した連続57例である.DCA施行後の慢性期追跡造影検査は平均96日後に施行した.中枢側冠動脈径がDCA前後で20%以上減少した症例を進展例と定義し,DCA施行部の再狭窄は内腔狭窄率50%以上とした.57例中7例(12%)に中枢側冠動脈の狭窄率進展を認めた.狭窄度の進展を認めた冠動脈は,左前下行枝4例,左回旋枝1例,右冠動脈1例,左主幹部1例であった.進展病変に対して新たに血行再建術を必要としたのは左回旋枝例のみで,この症例にはPTCAで対処した.対象をDCA前に中枢側病変の認められなかった35例(A群),軽度の中枢側病変の存在していた22例(B群)に分けると,狭窄度の進行した症例はA群1例(3%),B群6例(27%)であった(p<0.05).DCA施行部の再狭窄は全体では14例(25%)に認められた.一方,進展群と非進展群に分けると,再狭窄率は前者43%,後者22%で,進展群に再狭窄が起こりやすい傾向が認められた.以上より,DCA施行例においては,標的病変よりも中枢側の冠動脈狭窄が進行する場合があり,DCAの適応を決定する際には中枢側病変の有無に十分注意する必要があると考えられた.

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