心臓
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症例 右冠動脈右室枝攣縮によると思われる急性心筋梗塞の1例
名村 正伸金谷 法忍池田 正寿宇野 欣秀寺島 成明藤田 伸一郎大家 他喜雄
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1996 年 28 巻 10 号 p. 808-813

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抄録

症例は55歳,男性.持続する胸痛のため入院.前胸部誘導の軽度T波増高以外,心電図変化は明らかでなく,部位の特定はできなかったが,血清心筋逸脱蛋白の上昇を認め,急性心筋梗塞と診断された.慢性期心臓カテーテル検査では,左室壁運動は良好で,左右冠動脈にも器質的狭窄を認めなかった.アセチルコリン冠動脈内投与による冠攣縮誘発試験では,左冠動脈に攣縮は誘発されなかったが,右冠動脈右室枝に攣縮が誘発され,胸痛および前胸部誘導のST上昇,T波増高を認めた.以上より,本症例は右冠動脈右室枝攣縮による単独右室梗塞であると推測され,極めてまれと考えられたが,臨床的に見逃されやすく,今後このような症例の存在を念頭に置く必要があると考えられた.

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