1996 年 28 巻 8 号 p. 687-691
症例は54歳,男性.1988年より労作時胸部圧迫感自覚,1994年2月頃より症状増悪し同年4月14日入院.冠状動脈造影施行し,右冠状動脈75%,左冠状動脈前下行枝に75%の有意狭窄を認め,大動脈造影では大動脈弁閉鎖不全症(Sellers III度)と大動脈弁狭窄症(大動脈弁弁口面積1.2cm2)を認めた.このため大動脈弁置換術および冠状動脈バイパス術を施行した.術後4日目よりQT延長を伴わない異型torsade de pointes(TdP)の出現を頻回に認めた.この原因として虚血の関与はバイパス造影にて否定された.TdPに対し,Ia群とIb群の抗不整脈薬の投与を行うが効果が得られず,3日間の高用量(1,200mg/day)アミオダロン投与が奏行し,以後漸減し内服27日目で中止しえた.