1997 年 29 巻 12 号 p. 931-938
肥大型心筋症46例,高血圧合併の肥大型心筋症23例,高血圧性肥大心20例に123I-BMIPP心筋SPECT(BMIPP)を施行し,1)BMIPPが鑑別に寄与するか,2)高血圧が肥大型心筋症の心筋脂肪酸代謝障害に影響を及ぼすかを検討した.SPECT像を17領域に分割し,集積低下の程度を視覚的に4段階評価し,defect score(DS)とした.DSの総和(TDS)を算出し,各群の集積低下の頻度,程度,部位の特徴を比較した.肥大型心筋症と高血圧合併の肥大型心筋症で集積低下の頻度とTDSは同程度で,高血圧性肥大心に比し高値であった.集積低下部位は,肥大型心筋症と高血圧合併の肥大型心筋症は類似し,中隔前壁接合部,後壁中隔接合部,心尖部に高頻度であったが,高血圧性肥大心は後壁のみであった.肥大型心筋症と高血圧性肥大心では,集積低下の頻度,程度,部位が異なり,BMIPPは両者の鑑別に寄与する可能性がある.また,高血圧を合併した肥大型心筋症の心筋脂肪酸代謝障害に対する高血圧の影響は少ないと考えられた.