心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
症例 経ロプレドニゾロンと少量メソトレキセートの併用療法が有効であった心サルコイドーシスの1例
塚本 幸資平岡 久豊丸山 貴生田村 律大内 乗有木原 進士山下 静也竹村 芳松沢 祐次
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 29 巻 3 号 p. 213-218

詳細
抄録

症例は52歳,女性.1994年12月呼吸困難感および動悸を主訴として入院.入院時,心エコー図にて左室の拡大・著明な収縮能の低下を認め拡張型心筋症を疑うも,血清angiotensin-converting enzyme(以下ACE)の高値および縦隔リンパ節の腫大を認めたため,頸部リンパ節生検を施行し,心サルコイドーシスと診断した.当初は,prednisolone(以下PSL)50mg/日の投与によりACEの低下,縦隔リンパ節の著明な縮小が見られたが,治療開始後3カ月目頃よりPSLの副作用と考えられる全身の筋力低下および易感染性が出現した.このため,PSLを減量するも,縦隔リンパ節が再び腫大しACEも再上昇を示したため,PSLに加え免疫抑制剤であるmethotrexate(以下MTX)の7.5mg週1回の少量での併用を開始した.MTX投与後3カ月目からACEの低下とともに縦隔リンパ節の縮小を認め,PSLを20mg隔日投与の維持量にまで減量することが可能となった.PSLの減量に伴い,筋力低下および易感染性は改善した.一般に心サルコイドーシスでは,ステロイド剤の長期投与が必要とされ,本症例のようにその副作用が問題となることが多い.このような難治性の心サルコイドーシスに対しては,ステロイド剤と少量のMTXの併用療法が,極めて有効な治療法のひとつと考えられたので報告する.

著者関連情報
© 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top