心臓
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第17回心臓核医学研究会 急性心筋梗塞におけるTc-99mテトロフォスミン心筋シンチグラフィー
梶谷 定志矢坂 義則銕 寛之林 孝俊宝田 明吉田 明弘森 益規板垣 毅吉田 浩
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1997 年 29 巻 Supplement1 号 p. 29-34

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抄録

本研究では急性冠症候群に対してTc-99mテトロフォスミン(TF)による緊急心筋血流評価を行いその有用性を検討した.【対象と方法】胸痛を主訴として来院し,心電図で虚血性変化を呈した182例を対象とした.男性139例(77%),平均年齢64.0歳,一般的検査終了後核医学検査室へ搬送し,222MBqのTF投与10分後よりプラナー5方向あるいはSPECT撮像を行い,引き続き冠動脈造影を行った.シンチ解析は心筋を分節化し0(正常)から3(欠損)のgradeを求めた.【結果】CPKの上昇に基づき102例を急性心筋梗塞(AMI)を定義した. AMIでは101例(99%,grade 1=5,2=32,3=64)が局所低灌流を示した.不安定狭心症の60例では48例(80%,grade 1=19,2=24,3=5)が軽血流低下を示したが,他は正常であり,AMIに比し虚血は軽度であった.また,慢性期に再検しdirect PTCAを行った15例のLAD AMI患者の検討では,再灌流治療前の虚血部残存心筋血流量は再灌流時間とは関係なく慢性期の最終心筋梗塞量(r=O.82)とよく相関した.【結語】TFによる緊急心筋血流評価により,1)急性心筋虚血の正確な除外診断が可能である.2)再灌流治療による心筋サルベージを定量化できる.3)再灌流治療前の虚血部残存心筋血流量は急性虚血における心筋viabilityを示す.

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