心臓
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臨床 心筋梗塞症亜急性期以後に発症した再発性持続性単形性心室頻拍,心室細動の臨床的特徴
冠動脈造影所見とamiodarone, PTCAによる影響
楊 志成茅野 眞男村田 八寿子布施 淳西村 文朗名越 秀樹金 公宅前田 文昭松本 貢一葉山 泰史
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1998 年 30 巻 10 号 p. 617-624

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抄録

心筋梗塞症亜急性期から慢性期に発症した再発性心室頻拍の冠動脈造影の特微,amiodarone,PTCAによる影響につき検討した.対象は発症より1週間以内の心筋梗塞症連続185例のうち,心室頻拍を合併した7例(3.8%)である.7例全例で,左室機能低下,多枝病変を認めた.I群3例は持続性単形性心室頻拍(SVT)で,平均左室駆出率(EF)34%である.亜急性期の造影で前下行枝(LAD)は完全閉塞し,2例でPTCAを施行した.PTCA施行1年~6カ月後再狭窄と再発はなく,EFは18→34%,38→47%に改善した.II群4例は心室細動(Vf)で,平均EF31%である。亜急性期の造影でLADは自然再灌流していた.PTCAが再狭窄までの再発予防に有効であった.I群の梗塞血管は完全閉塞し,PTCAによる虚血の改善,左室機能の改善が広汎な梗塞巣の安定したsubstrateを修飾し,SVTに有効であった.II群の梗塞血管は不完全閉塞し,PTCAにより梗塞巣,残存心筋の持続性虚血が改善し,Vfに有効であった.両群ともにamiodaroneが有効であった.

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