心臓
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第10回心臓性急死研究会 Brugada症候群におけるVF発作の誘因に関する臨床的検討
宮沼 弘明小幡 篤小鷹 日出夫村口 至
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1998 年 30 巻 Supplement4 号 p. 103-108

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抄録

Brugada症候群におけるVF発作の誘因について臨床的に検討した.対象は,器質的心疾患がみられずBrugada症候群に特徴的な心電図所見を有し,かつ意識消失発作の見られた9例である.全例男性で,年齢は26~47歳平均41.6歳,のべ17回の
VFもしくは意識消失発作がみられた.VF発作は,季節的には6~9月の夏期に多く発症し,一日の時間帯としては夜間とくに19~23時に集中する傾向がみられた.VF発作は主に安静時にみられたが,身体的な背景としては長時間労働などによる過労やストレスなどが誘因となったと考えられる例が多く,発作の予防には日常生活指導が重要と考えられた.VF発作時の血清Kは2.5~3.6mEq/l(平均3.1mEq/l)といずれも低値を示していた.一部の症例では,低K血症時に電気刺激で誘発されたVFが血清Kの正常化後には誘発されなくなり,VF発作の発現には低K血症の関与が示唆された.また,高血圧患者260人の検討では夏期は冬期に比べ低Kになりやすい傾向があり,Brugada症候群で夏期にVF発作が多かったのは夏期は低K血症を来たしやすいためである可能性が示唆された.

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