【目的】健康成人における心臓性突然死の心電図所見を比較検討しSCDの予測における有用性を検討した.【対象と方法】自衛隊関連施設において過去16年以内にSCDで死亡したと考えられる39症例(SCD群,36±15歳,男性)と臨床的背景のほぼ等しい34症例(NL群,36±12歳)の心電図所見を比較した.また,心電図から木村・蟹江らの式を用いて推定心重量を算出し,剖検の際に得られた実測心重量と比較検討した.【結果】剖検心の心重量と推定心重量との間にはr=O.89(p<O.O1,n=30)の高い相関が認められた.以後この式を用いて推定心重量を比較すると,SCD群420±62gに対しNL群399±29g(p<O.1)であった.420g以上の心重量を有する症例の各群に占める割合を比較すると,NL群の17.6%に対しSCD群46%と有意に高頻度であった(p<0.01).【結語】木村・蟹江らの式に基づき心電図から推定心重量を算出することはSCDの予測に有用であると考えられた.特に420g以上の症例に関しては他の検査法を用いてより詳細に検査する必要があると考えられた.