心臓
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第10回心臓性急死研究会 家族歴に突然死を認め,カテコラミン感受性多型性非持続型心室頻拍に洞不全症候群を併発した1例
大村 昌人清水 昭彦山縣 俊彦上山 剛大楽 友加早野 智子田村 健司松崎 益徳
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1998 年 30 巻 Supplement4 号 p. 32-37

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抄録

症例は26歳,男性.主訴:眼前暗黒感.家族歴:父親が32歳,父方の祖母32歳,父方いとこ15歳男性に突然死が認められた.現病歴:15歳時運動中に数秒間の失神発作が出現し,18歳頃より数秒間の動悸発作を自覚するようになった.近医を受診し,心室性期外収縮と著明な徐脈を指摘された.入院時心電図では40拍/分の著明な洞性徐脈を認めたがQT時間は0.4秒であった.胸部X線,心エコーに異常はなかった.ホルター心電図にて,昼間にbidirectionalな最高33連発の多型性心室頻拍を,夜間に3.6秒のlong pauseを伴う著明な徐脈を認めた.臨床電気生理学的検査では,最大洞結節機能回復時間は1.7秒,内因性心拍数は65拍と異常低値を示した.心室単相性活動電位,AH,HV時間は,正常であった.AAIペースメーカーの植込みとメトプロロール120mg,アプリンジン20mgの併用で連発は認めず効果ありと考え退院となった.本例は,QT延長を認めず心室頻拍の形態もbidirectional tachycardiaでtorsades de pointesとは明らかに異なり,Leenhartらが報告した家族性カテコラミン誘発性多型性非持続型心室頻拍と考えられた.

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