心臓
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第10回心臓性急死研究会 突然に高度の洞停止をきたしたミトコンドリア心筋症の1例
栗山 仁石上 友章住田 晋一石川 利之住田 洋一高橋 延和芦野 和博日比 潔海老名 俊明乳井 伸夫落合 久夫石井 當男
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1998 年 30 巻 Supplement4 号 p. 63-68

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抄録

症例は43歳女性.30歳時に糖尿病と診断され,インスリン療法を受けていたが,1996年6月心不全のため入院となった.心臓超音波検査ではび慢性の左室壁運動の低下を認め,左室駆出率は33.6%であった.心臓カテーテル検査では冠状動脈に有意狭窄はなく,心筋生検では,異常ミトコンドリアの集積,無構造な沈着物の集積を認めた.ミトコンドリアDNAを検索したところ,3243の点変異が認められたため,ミトコンドリア心筋症と診断した.その後,利尿剤・ACE阻害剤投与により心不全症状軽快し,全身状態良好であったが,1997年4月27日,突然高度の洞性徐脈から心停止,呼吸停止に陥り,心肺蘇生術,緊急一時ペーシングを行った.電気生理学的検査ではprocainamide 800mg静注後に高度の洞停止を認め,洞不全症候群と診断し永久ペースメーカー植え込み術を行った.従来,ミトコンドリア異常症は高度の房室ブロックを合併することが知られているが,洞不全症候群,とりわけ心肺蘇生術を必要とするような高度な洞停止を合併する例は比較的稀であり,報告する.

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