心臓
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症例 骨髄異形成症候群(MDS)を合併した僧帽弁狭窄兼閉鎖不全症(MSR)に対し人工弁置換術を施行した1例
岡村 達高 英成横山 晋也国井 佳文北村 誠松室 明義宮尾 賢爾赤荻 昭章
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1999 年 31 巻 1 号 p. 33-35

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抄録
症例は56歳,女性.1960年頃より心雑音を指摘されていた.1990年8月頃より全身倦怠感が出現し,当院内科を受診.血液検査で異常を指摘され入院精査したところ,骨髄異形成症候群(MDS),移行性芽球過剰性不応性貧血(REAB-t)と診断され,化学療法薬の経口投与にて退院となった.また,心臓超音波検査で僧帽弁狭窄兼閉鎖不全症(MSR)を指摘された.1993年2月に入り呼吸困難が出現し,増悪傾向を認めたため当院内科を受診した.
心臓カテーテル検査にて,肺動脈楔入圧21mmHg,左室拡張末期圧12mmHg,心臓超音波検査にて僧帽弁弁口面積0.9cm2,MR(III),TR(III)と診断され,僧帽弁置換術を施行した.術後NYHA分類I度にて外来通院をしていたが,2年6カ月後,白血病に急性転化し死亡した.我々の調べ得た限り,本邦ではMDSを合併した弁膜症に対する外科治療を施行した症例の報告はない.今回,MDSに合併したMSRに対し人工弁置換術を施行した症例を経験したので報告する.
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