心臓
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31 巻, 1 号
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  • 川島 康生
    1999 年 31 巻 1 号 p. 3
    発行日: 1999/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 的場 聖明, 辰巳 哲也, 明石 加都子, 計良 夏哉, 河原 聡, 小原 幸, 鶴山 幸喜, 片村 真紀, 田中 哲也, 中川 千明, 太 ...
    1999 年 31 巻 1 号 p. 5-11
    発行日: 1999/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    【目的】 病的心におけるischemic precondition-ing (IP)の報告は少ない.そこで糖尿病ラットを用いてIPの心筋保護作用を細胞内エネルギー代謝の面から検討した.
    【方法】 糖尿病ラット摘出心を用いてランゲンドルフ法により灌流し, 30分間の虚血および30分の再灌流を行った.30分の虚血に先立ち,5分間ずつ2回の虚血再灌流を行うIP群と行わないcon-trol trol群で,各々左室発生圧,冠灌流液中のcreatine kinase 活性,心筋組織内高エネルギーリン酸化合物,グリコーゲンおよび乳酸含量を測定した.また,再灌流後の心筋よりミトコンドリアを抽出し,ATPase およびadenine nucleotide translocase活性を測定した.
    【結果】 IP群では左室発生圧の回復が良好で,再灌流後のcreatine kinase活性も低値であった.また,再灌流後の心筋内ATPおよびクレアチンリン酸含量はIP群で有意に高値で,30分間虚血直後の乳酸含量および虚血中のグリコーゲン分解量はIP群で低値であった.さらに,再灌流後のミトコンドリアATPaseおよびadenine nucleotide trans-locase活性は,IP群で有意に高値であった.
    【総括】 糖尿病心においてもIPによる心筋保護作用が確認され,その機序として,虚血時の嫌気的解糖の抑制に基づく細胞内pH低下の抑制と再灌流後のミトコンドリアの酸化的リン酸化能の保持が重要と考えられた.
  • 斎藤 靖浩, 鼠尾 祥三, 江幡 淳, 泉礼 司, 井上 省三, 寒川 昌信, 河原 洋介, 田中 淳二, 神山 憲王, 末綱 竜士, 沢山 ...
    1999 年 31 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 1999/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    拡張型心筋症(DCM)では様々な心電図異常がみられ,心筋障害の状態をよく反映している.今回,主として心電図左側胸部誘導QRS形態に注目して,本症の3年予後の予測を試みた.対象は当科に入院したDCM患者34名.3年予後を予測するため,生存例では検索時より3年前の心電図を,死亡例では死亡3年前の心電図を,また受診期間が3年未満の死亡例では初診時の心電図をそれぞれ詳細に検討した.
    結果:死亡群(16例)は生存群(18例)に比してV1のPTF(P-terminal force)は有意に大(p<0.05),V5のR波高は低い傾向,QRS幅は延長傾向であった(0.05<p<0.1).左側胸部誘導のQRSがnotched RあるいはM typeを示す例は,死亡群(16例中14例)では生存群(18例中5例)に比し有意に多かった(p<0.Ol).M typeは突然死6例中4例,非突然死(生存例と心不全死例)28例中2例で,突然死例に有意に多く認められた(p<0.01).
    今回の結果から,左側胸部誘導のQRSにnotched RあるいはM typeを認める例は死亡率が高く(88%),特にM typeは突然死例の67%に認められ,DCMの新しい心電図指標となる可能性が示唆された.
  • 戸嶋 裕徳
    1999 年 31 巻 1 号 p. 19-21
    発行日: 1999/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 大森 久子, 内田 達郎, 遠田 賢治, 長嶋 道貴, 森 文章, 辺 泰樹, 篠田 尚克, 児玉 秋生, 笠原 信弥, 広沢 弘七郎
    1999 年 31 巻 1 号 p. 23-26
    発行日: 1999/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,女性で,労作時の息切れを主訴に来院し,心エコー上著明な肺高血圧を認めたため精査目的にて入院した.徐々に増悪した労作時の息切れで,肺塞栓を思わせるような突発性の呼吸困難の既往はなく,胸部X線上,右肺動脈主幹部の陰影不明瞭,肺血流シンチグラムにて右肺血流の完全欠損,胸部CTおよび肺動脈造影にて右肺動脈の辺縁がなめらかに途絶している所見などから,先天性の右肺動脈欠損症と診断した.心内奇形の合併はなかった.肺機能検査および肺換気シンチグラムは正常であった.心カテーテル検査にて肺動脈圧100mmHgと著明な肺高血圧が認められた.一側性肺動脈欠損症はまれであり,さらに心内奇形の合併がなく肺高血圧をきたす症例は少ないため報告した.
  • 門間 和夫
    1999 年 31 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 1999/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 岡村 達, 高 英成, 横山 晋也, 国井 佳文, 北村 誠, 松室 明義, 宮尾 賢爾, 赤荻 昭章
    1999 年 31 巻 1 号 p. 33-35
    発行日: 1999/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は56歳,女性.1960年頃より心雑音を指摘されていた.1990年8月頃より全身倦怠感が出現し,当院内科を受診.血液検査で異常を指摘され入院精査したところ,骨髄異形成症候群(MDS),移行性芽球過剰性不応性貧血(REAB-t)と診断され,化学療法薬の経口投与にて退院となった.また,心臓超音波検査で僧帽弁狭窄兼閉鎖不全症(MSR)を指摘された.1993年2月に入り呼吸困難が出現し,増悪傾向を認めたため当院内科を受診した.
    心臓カテーテル検査にて,肺動脈楔入圧21mmHg,左室拡張末期圧12mmHg,心臓超音波検査にて僧帽弁弁口面積0.9cm2,MR(III),TR(III)と診断され,僧帽弁置換術を施行した.術後NYHA分類I度にて外来通院をしていたが,2年6カ月後,白血病に急性転化し死亡した.我々の調べ得た限り,本邦ではMDSを合併した弁膜症に対する外科治療を施行した症例の報告はない.今回,MDSに合併したMSRに対し人工弁置換術を施行した症例を経験したので報告する.
  • 菊地 淳一, 小山 滋豊
    1999 年 31 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 1999/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞を発症し,経過から原発性抗リン脂質抗体症候群と考えられた2症例を報告する.
    症例1は42歳,女性.脳梗塞,自然流産の既往あり.胸痛のため入院した.喫煙歴あり.心電図上II,IIIでST上昇,V3~V5で陰性T波を認めた.心筋逸脱酵素上昇あり.血小板数減少,APTT延長,抗カルジオリピンβ2-glycoprotein I複合体抗体上昇,抗核抗体陽性.左室造影上心尖部が心室瘤様,心室中隔が低収縮,冠動脈造影では狭窄や閉塞を認めなかった.
    症例2は25歳,男性.胸痛のため入院した.喫煙歴あり.肥満傾向.心電図でII,III,aVFに異常Q波および陰性T波,I度房室ブロックを認めた.心筋逸脱酵素が軽度上昇.血清梅毒反応生物学的偽陽性,抗カルジオリピンβ2-glycoprotein I複合体抗体上昇,抗核抗体陽性だった.左室造影上,左室壁運動低下,冠動脈造影で右冠動脈近位部完全閉塞を認めた.
    2例とも抗血小板療法および抗凝固療法を行った.若年発症の急性心筋梗塞例では抗リン脂質抗体症候群の存在を疑い,血栓症の再発予防に努めるべきと考えられた.
  • 岡本 隆二, 斉藤 公正, 宮原 眞敏, 岡本 紳也, 牧野 克俊, 幸治 隆一, 中野 赳
    1999 年 31 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 1999/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は73歳, 女性.特に著病を認めなかったが,3週間前より労作時に前胸部痛を自覚し,近医を受診した.心電図にてII,III,aVFのST上昇およびV1R増高,V1~4のST低下, 心エコーにて後下壁の壁運動低下,およびCPKとLDHの上昇を認め,急性後下壁心筋梗塞の診断にて入院した.アスピリンと硝酸薬のみにて保存的に経過観察されていたが,入院5日目より完全房室ブロック(AVB)を認めた.硫硝酸アトロピンに反応せず,全身倦怠感を主訴に当院へ転院となった.来院時心拍数36回/分,血圧110/50mmHg,心電図上完全AVBおよび接合部補充調律を認めた.体外式ペースメーカーを挿入し経過を観察したが,ブロックは消失しなかった.心筋梗塞発症8日目に待期的に心臓カテーテル検査を施行,右冠動脈房室枝に完全閉塞を認めた.造影中灌流の改善に伴い,完全AVBがIIおよびI度へ一時的に移行したため,経皮的冠動脈形成術を試みた.バルーン拡張時および脱気時に一致して,高度AVBとI度AVBの移行を再現性よく認めた.術後2日後よりPQ間隔は正常化し,体外式ペースメーカーを抜去した.経過中有意な胸痛,心電図STT変化や心筋逸脱酵素の再上昇を認めなかったため,後下壁心筋梗塞に合併した遅発型完全AVBと診断した.文献上遅発型の完全房室ブロックの機序は代謝異常が主とされているが,本例では血流の改善が有効であったため興味ある症例と考え報告した.
  • 秋好 久美子, 犀川 哲典, 竹下 泰, 秋満 忠郁, 高倉 健, 吉村 彰, 米持 英俊, 前田 利裕, 田村 雅道, 坂田 利家
    1999 年 31 巻 1 号 p. 49-54
    発行日: 1999/01/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は14歳,男子.主訴は失神発作.生来健康であったが,平成5年6月27日100m走直後に失神し,この時脈を触知できず,救急蘇生を受けて回復した.同年7月12日精査加療目的にて当科入院となった.安静時12誘導心電図は正常洞調律,右軸偏位.心臓超音波検査,心臓カテーテル検査では異常を認めなかった.臨床電気生理学的検査の結果,右室流出路起源のverapamil感受性特発性心室頻拍症と診断した.以後verapami1とpropranololの併用により加療中であるが,約4年間の経過観察中心室頻拍は出現していない.
    失神発作後早期のホルター心電図で約4分間の心室頻拍が記録された.心室頻拍の発症前後で心拍変動解析を行ったところ, 心室頻拍直前にL F / H F の上昇とHFの低下を認めた.基礎心疾患を有さない右室流出路起源の持続性心室頻拍症において,発作直前および治療前後の心拍変動解析の報告はなく,本例で心拍変動解析を発作直前および治療前後で行ったところ,発作直前のみならず非発作時にも自律神経系の異常が存在し,verapamilとpropranolo1の投与によりこれらの異常が改善した.本例の心室頻拍発症の機序を考える上で重要な所見と思われるので報告する.
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