抄録
目的:特発性心室細動(I-Vf)における多形性心室頻拍(PVT)の誘因としての自律神経緊張の関与の有無を知るために,自律神経緊張と補正QT間隔のdispersion(QTcd)との関連を検討した.
対象と方法:Brugada症候群,r'/ST型I-Vf,分類不能型I-Vfの計26例を対象とし,自律神経緊張の変化とQTcdの変化との関係を検討した.
結果と考察:(1)PVT発現と関連し,一過性QTcd増加を見た.(2)Brugada症候群では,交感・迷走両神経刺激ともにQTcdを増加させた.(3)r'/ST型では,迷走神経刺激による局所の伝導遅延と不応期の不均一性を見た.(4)分類不能型では,交感神経刺激によりQTcdが増加した例と迷走神経緊張亢進時にPVT閾値が低下した例があった.
結語:I-Vf例では自律神経緊張亢進により,QTcdは増加し,PVT発現性と関連した所見と考えられた.