抄録
比較的若年者に発症した可逆的完全房室ブロック2症例を経験した.症例1)は31歳,男性.労作時息切れを主訴に来院し,心拍数26/分の完全房室ブロックを認めた.血液生化学所見には異常を認めなかったが,心エコー図,MRIでは心室中隔基部の菲薄化と壁運動異常を認めた.心筋生検では特異的な炎症像は認めなかったが,心筋の炎症性疾患を疑い,ステロイド療法を開始したところ,房室伝導が回復した.症例2)は32歳,女性.甲状腺機能亢進症の加療中,感冒様症状,意識消失発作を認めた.心筋逸脱酵素の上昇を軽度認めたが,心エコー図上左室壁運動には異常所見を認めなかった.入院翌日,房室伝導が回復した.