心臓
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症例 若年で急性心筋梗塞を発症した原発性抗リン脂質抗体症候群の1例
齋藤 義弘高橋 将文奥田 庚輔水野 修勝木 孝明池田 宇一島田 和幸
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2000 年 32 巻 11 号 p. 871-876

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抄録
症例は28歳男性,24歳から軽度の高血圧を指摘されていたが放置していた.1999年5月11日に前胸部不快感が出現,13日,勤務中に強い胸部圧迫感が出現して近医を受診した.心電図上Vl~V5でST上昇を認め急性心筋硬塞の疑いで当科に紹介され,緊急入院した.入院後緊急冠動脈造影を施行,左前下行枝近位部(#6)に99%狭窄を認めた.冠動脈内エコー(IVUS)で病変部を観察すると,高エコー輝度のプラークが血管内腔をほぼ埋めていた.右冠動脈には特に異常は認めなかった.狭窄部位に経皮経管的冠血管形成術(PTCA)を行った後ステントを挿入し,0%に拡張した.若年発症の急性心筋梗塞のため,その原因について精査したところ,愈中β2GP1抗体価が著明に上昇しており,抗リン脂質抗体症候群(APS)と診断した.原発性抗リン脂質抗体症候群により20歳代で発症する急性心筋梗塞例は非常にまれであり,さらには病変部をIVUSで観察できた症例は貴重と考え報告する.
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