心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
臨床 動脈管依存肺動脈閉鎖症の検討
Nonconfluent PAは予測可能か
鈴木 保之高山 健彦中山 至誠
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 32 巻 12 号 p. 948-954

詳細
抄録
動脈管依存性肺動脈閉鎖症の術後遠隔期に動脈管の収縮に伴う肺動脈の狭窄あるいは閉塞を生じることがあるが,末梢肺動脈が低形成となり,閉塞および狭窄がその後の手術に悪影響を及ぼす症例が散見される.初回手術前の検査から狭窄,閉塞が予測できれば,初回手術方法の選択や,2回目の手術時期を決定することに役立つと考え,当院で経験した肺動脈閉鎖症をretrospectiveに検討した.
リプル使用の有無と肺動脈狭窄あるいは閉塞との関連は認められなかったが,主肺動脈の有無と肺動脈狭窄,閉塞との関係では,主肺動脈を認めなかった場合に狭窄,閉塞を生じる場合が多かった.初回手術前の肺動脈造影から動脈管流入部の肺動脈の狭窄の程度(SuzukiIndex)を算出すると,Indexが10%以下の症例で遠隔期に左右肺動脈の交通がなくなる可能性の高いことが示唆された.また,狭窄の程度が中等度(Index:17%前後)の症例では初回手術により肺動脈血流が保たれても遠隔期の肺動脈の狭窄の程度は変化しないことがわかった.以上より,肺動脈造影から算出したSuzuki Indexから,その後の閉塞,狭窄を予測することが可能で,初回手術の選択や,その後の経過観察に有用であると考えられた.
著者関連情報
© 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top