心臓
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症例 褐色細胞腫による難治性心不全にカルベジロールの漸増療法が奏効した1例
五十嵐 宣明河田 正仁小林 征一下川 泰史高田 幸浩清水 雅俊宮武 博明岡田 敏男水谷 哲郎山口 雅人小河 幹治森田 瑞穂
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2000 年 32 巻 7 号 p. 557-562

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抄録

症例は59歳,男性.既往歴として43歳時に褐色細胞腫の手術を受けていた.腹部CT上褐色細胞腫の再発と肺野の陰影を認め,入院となった.入院後,肺野の陰影増強と呼吸困難をきたし人工呼吸を行った.カルペリチド(hANP)の短期間投与により利尿を図り一旦抜管したが,再度の呼吸困難と高度な胸水貯留をきたし再挿管.血中ノルアドレナリンの著明な高値と心エコー上び漫性壁運動低下を認め,カテコールアミン心筋症が考えられた.急性増悪期に,hANP,ミルリノンの投与を行い,慢性期にはピモベンダンとカルベジロールを漸増させ併用した.胸水は長期貯留したが,心機能の改善とともに次第に減少し,人工呼吸器からも離脱した.
褐色細胞腫に合併した難治性心不全を救命し,その際αβブロッカーの漸増療法が有効であった.

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