心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
研究会 第35回理論心電図研究会 テーマ : イオンチャンネルから見たQT延長, ST異常, T・U波の異常 QT延長症候群
古川 哲史中島 忠田中 敏博平野 裕司桜田 春水高橋 玉菜永井 良三伊藤 敏夫片山 芳文中村 祐輔平岡 昌和
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 33 巻 4 号 p. 322-329

詳細
抄録

先天性QT延長症候群の多くは心筋イオンチャネル遺伝子異常に起因し,遺伝的多様性があり複数のカリウムチャネル遺伝子(KvLQT1・HERG・KCNE1・KCNE2)と一つのナトリウムチャネル遺伝子(SCN5A)に変異が同定されている.カリウムチャネル孔はαサブユニットの4量体から構成されるが,常染色体優性遺伝のRomano-Ward症候群では変異型サブユニットが野生型サブユニットと異種4量体を形成しその機能を抑制するため,ドミナントーネガティブ型抑制を呈する.また,HERGチャネルはユニークなキネティックスを有し,これを修飾する変異では臨床像にも影響をもたらす.一方,ナトリウムチャネルは6回膜貫通型ドメインを4個タンデムにつないだα サブユニットの単量体からなるため,ドミナントーネガティブ型抑制は示さず,不活性化を障害し活動電位プラトー相にも持続性電流をもたらすため心筋再分極が障害される.

著者関連情報
© 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top