2002 年 34 巻 10 号 p. 785-790
【症例1】71歳男性.陳旧性心筋梗塞による心不全のため加療中.平成11年12月頃から発作性心房細動が出現するも各種抗不整脈薬が無効で,平成12年7月より心不全症状が悪化し入院となった.左室駆出率は22%であった.8月11日に電気的除細動を行い,アミオダロンを開始.投与1カ月心不全症状は軽快し洞調律は維持され,退院となった.
【症例2】44歳男性.平成10年5月より発作性心房細動のため加療中.各種抗不整脈薬に抵抗性で,平成12年8月頃より動悸,夜間咳嗽が出現し徐々に増強した.10月6日の胸部X線上心陰影拡大,肺うっ血を認めたため入院.左室駆出率43%と心機能の低下を認めるも,冠動脈造影では有意病変を認めなかった.発作性心房細動予防目的に12月よりアミオダロンを開始.その後発作性心房細動は消失,心不全症状は改善し12月22日軽快退院となった.
【まとめ】発作性心房細動予防にアミオダロンが有効であったうっ血性心不全の2例を経験した.アミオダロンが強力な抗不整脈作用および抗心不全作用を介して,発作性心房細動を伴う心不全患者に有効であった可能性が考えられた.