心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
臨床 弁置換術後にワルファリン,ブコローム併用による抗凝固療法を行った10例
松崎 浩史松元 崇松井 完治久保 俊彦福山 尚哉
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 34 巻 12 号 p. 947-951

詳細
抄録

ワルファリンによる抗凝固療法を行う場合,消炎剤であるブコローム(グレラン製薬)を併用してワルファリンの抗凝固作用を増強させる方法がある.今回,我々は,ワルファリン服用量が多いためにワルファリン,ブコローム併用療法を行った10例を対象に,ブコローム開始前後のワルファリン量と凝固能の関係を調査し,ブコローム開始後のワルファリン減量のプロトコールを検討した.対象となった10例は全例弁置換術後であった.術後1カ月以内に本法を開始したのは3例で,そのうち1例にはブコローム開始直後に予想外の凝固能低下が見られた.術後1カ月以上を経過しブコロームを開始したのは7例で,外来通院例では凝固能が安定するのに数週間を要し,入院例では凝固能検査を頻回に行いつつ,ワルファリン服用量を初期維持量から漸減することで数日後には至適な凝固能に到達していた.これらの症例の遠隔期のワルファリン維持量は6例で1-1.5mg,4例で2-2.5mgであった.以上のことから,術後早期にワルファリン,ブコローム併用療法を行う場合には慎重な凝固能管理が必要であり,術後1カ月を経過してブコロームを開始する場合のワルファリン服用量は,初期維持量から数日後に1.5mgになるように漸減するのがよいと思われた.ただし,最終的なワルファリン維持量は,個々の症例で調節する必要がある.

著者関連情報
© 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top