2002 年 34 巻 12 号 p. 952-957
原発性心アミロイドーシスは進行性の予後不良な疾患で,心不全発症からの平均予後は約6カ月との報告がある.今回我々は,原発性心アミロイドーシスの心不全に対してメルファラン・プレドニゾロン療法が有効であった症例を経験したので報告する.
症例は74歳の男性.心不全で入院し,心エコーで左室のび漫性壁肥厚,壁運動低下と左室拡張障害を認め,心筋生検所見,血清および尿免疫電気泳動検査からIgAラムダ型の原発性心アミロイドーシスと診断した.心不全のコントロールが不良のためメルファラン・プレドニゾロン療法を施行したところ,心不全の著明な改善とドップラー心エコーで左室拡張障害の改善に認めた.メルファラン・プレドニゾロン療法が予後改善の有効であったとの報告はあるが,心不全に対する急性期の効果を検討した報告はされていない.